YouTube動画のスクリーンショットを撮って、
ブログやTwitter,facebookなどにアップする場合、
著作権違反になったりしないのか?

ちょっと気になる所だよね!
そこで今回はYouTube動画のスクリーンショットの著作権について
解説していこうと思う。

スクリーンショットは法律的に合法か違法か

スクリーンショットを何気なくブログやSNSに貼り付けている人は多いと思うけど、
それが合法なのか違法なのか、法律には明記された条文がない。

まず考え方によっては、スクリーンショットは他人のサイトを丸々もってくるので、
違法なコピーになってしまうよね。

違法だとすれば、スクリーンショットを無断で公開した場合、
「複製権」「公衆送信権」「翻案権」の侵害となってしまう。

そこで、著作権法の第32条「引用」に注目だ。

文章を引用するのと同じで、スクリーンショットも、
他サイトの一部を丸ごと引用しているといえるから、
スクリーンショットの利用は「引用」に関する要件に従った方がいい

結論を先に言うと、引用の要件を満たせば、著作者に無断で
スクリーンショットを引用することは「可能」だということだ。

では、その引用の要件について見ていこう。

スクリーンショットを使う時には著作権法第三十二条「引用」

まずは、その第32条引用についてを見てみよう。

 [1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。(注5)[2]国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌等に転載することができる。ただし,転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの例外規定は適用されない。

出典:著作物が自由に使える場合(引用第32条)|文化庁

上記の[1]の部分”公正な慣行に合致する” ”引用の目的上、正当な範囲内”というのは
どういうことだろう?

同じく文化庁の”著作物が自由に使える場合”には、
このような注意書きがあるんだ。

著作物が自由に使える場合|文化庁

(注5)引用における注意事項

 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。

  • (1)他人の著作物を引用する必然性があること。
  • (2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
  • (3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
  • (4)出所の明示がなされていること。(第48条)
    (参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)

出典:著作物が自由に使える場合|文化庁

この説明文をわかりやすくまとめていくよ。

スクリーンショットを合法的に利用する条件

  • (1)他人の著作物を引用する必然性がある事

これは、スクリーンショットを貼り付けようとするページ(あるいは記事)自体が、
初めから他サイトの内容を丸写しするだけの内容ではなく、
比較、説明、紹介など、その著作物(今回の場合スクリーンショット)を
引用する必要がある内容であればOKということだ。

  • (2)自分の著作物と引用部分とが区別されていること。

これは、この記事や講座でもグレーの四角い枠で囲っているように
引用部分を枠などで囲ったりして
引用部分は、できるだけ一目でわかるように表示されていなくてはいけないってことだ。

まとめサイトなんかで引用画像が沢山並んでいても
画像に対してコメントを書き加えてあるだろ?
あのコメントも自分の著作物と引用部分との区別の1つなんだ。

  • (3)主従関係が明確である事

量や質の問題だけど、
スクリーンショットを貼り付けたページの著作者が書いたものが「主」で、
引用したものは「従(サブ)」でなければいけない。

この主従関係がひっくり返ると、
「他人の著作物を無断で自分の著作物のように使用した」とみなされてしまう。

元サイトの価値をそのまま利用した、ということになってしまうんだ。

(4)出所の明示がなされていること

これは、スクリーンショットの下などに、
そのサイト(あるいは動画)のURLやサイト名(動画名)を
リンク貼り付け(あるいは記載)しておくってことだ。

誰の著作物で、どのページから引用したかを明示し、
著作物の権利保持者が明らかにする必要があるし、
著作者のサイトへの誘導もできれば、
「コピー」ではなく「紹介」したという意味合いになるね。

そしてもう一つ条件がある。

(5)著作者の意に反する改変をしていないこと

スクリーンショットを貼り付ける場合に、やむを得ずサイズを変更したり
トリミングして一部をカットしなくちゃいけない場合があるよね?
この場合は「やむを得ない場合」として”改変”にはならない。

でも、サイト名や社名などが見えなくなってしまう”墨塗り”や”モザイク”はNGなんだ。
例え元サイトの記事での文字が「誤字」で書かれていても、
それを勝手に修正してしまうと”改変”になってしまうくらい、
「著作者の同一性保持」を重要視されている。

訴えられる可能性がある”引用”とは?

上記のような要件が満たされていれば著作権違反とならないとはいうけども、
訴えられやすいものもあるんだ。

例えば、その画像や動画のスクリーンショットに、
タレントの写真が用いられていた場合
肖像権の侵害となり、訴えられる可能性も考えられる。

とはいえ、よほど悪質でなければ著作権侵害というのは”親告罪”だから、
それこそスクリーンショットが理由で実際に訴えられた実例は少ないんだよね。

その少ない事例の中で、例に挙げておくと「脱ゴーマニズム宣言」事件というのがある。
これは漫画においての引用が認められる範囲を明確な基準で引き出した事件だ。

この事件では、

  1. 作品に、引用する必要性があるかということと、
  2. やむを得ない”改変”にあたるかどうか、という、

まさに引用が認められる要件について判断され、

結果としては漫画の出版差し止めと慰謝料20万円の支払いは命じられたけれども、
原告側のその他の請求については棄却され、仮執行宣言もなしとされた。

逆に、原告(引用元)に主従関係があると認められた例もある。
(参考:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/9080B34D1A37B16F49256A77000EC… )

まとめ

どうだったかな?

今まで何気なく貼っていたスクリーンショットも
著作権に関する注意が必要なんだね。

  • スクリーンショットについての著作権法の条文は無い
  • スクリーンショットは性質上、著作権法でいう「引用」にあたる
  • 「引用」が許されるのは著作権法第32条”引用”にある条件を満たす必要がある
  • 条件を満たしていても、確実にアウトな場合もある
  • 過去に、画像引用での裁判事例は少ないけれど存在している

ということだね!簡単に撮って色々な使い方ができるスクリーンショットを
これからも安心安全に使うためには、引用の条文を読んでおく必要はあると思うナ。